業(ごう)と行(ぎょう)
ベルトルッチはもういなかったんだ。イタリアでのコロナの猛威のニュースでその安否が一瞬脳裏をよぎったがすぐに打ち消した。ベルトルッチは1年以上も前に亡くなっている。芸術家の凄いところは作品があるためかいつでも生きているような感覚を喚起させるところだ。
ただ、普通人の日常には生命の危険がいつもより増しているという現実が精神を疲弊させる。
そこにいただけなのに不幸に落ちてしまった人々のニュースが蔓延している。そんなときは業なる概念が心を占拠しそうになったり、何らかのお清めの行をしないといけないのではないのかなどと思いそうになる。
西洋人であるベルトルッチが『リトル・ブッダ』を世に問うたとき、その脳裏には何が過っていたのだろう。
生きている限り新作が届けられる可能性が残されている。ゴダールは現在、89歳。
新作を期待しつつ、ささやかな良い行いをしようと思うのでした。